ご挨拶

ご挨拶


はじめまして。
本事業の運営責任者、前野美月です。

ブログ「この道の歩き方」で闘病絵日記ブログを書いています。

この事業を始めたきっかけ

絵日記の内容とも重なりますが、私の二人の子供たちには呼吸器の持病があります。
これまで何度も救急車のお世話になり、手術や入院を30回近く繰り返してきました。

そんな闘病生活中。
私はときどき、
もうどうしようもなく追い詰められてしまうことがありました。

たとえ私の心の90%が、
「がんばろう!」
「子どもの笑顔を守ろう!」
という前向きなものであったとしても、

どうしても、
心の中には、消化しきれない思いがありました。

繰り返す入院。
たまっていく疲労。つらさ。しんどさ。
母としての自分を責める思い。
苦しんでいる我が子を前に、なにもしてあげられない無力感。

そういった気持ちも私の中にはたしかにあって、その気持ちを「無かったこと」にはできませんでした。

「そんなこと思わないようにしよう」
「前向きに頑張ろう」
と自分の気持ちを奮い立たせてがんばっていたところ、
ある日、睡眠不足や体力の限界を超えて、過労で倒れてしまいました。

 

まわりはどうしているんだろう?

道路を歩いている最中に倒れてしまった私は、受け身をとることなくアスファルトに強く体を打ち付け、何針も傷を縫う事態となりました。

こどもたちを守らないといけない母の立場でありながら、これではだめだ!と強く思いました。

けれど、長い闘病生活や介護生活の中では、そう簡単に「過労や睡眠不足の原因」をどうにかできるものではありません。
子どもの病気がすぐに治るわけではないし、これからも入院生活は続いていく。

自分の力ではどうしようもないことばかりの中で、唯一、自分でどうにかできる部分。
それが「気持ち」の部分でした。
その中でも、この「消化できない思い」の部分をどう発散していくか?その方法を考えなければならない、と思いました。

「いったい、私以外のまわりの人たちは、どう対応しているんだろう?」

おなじような状況は、家族の介護をしている人や、患者ご本人にも言えるはず。
それなら、誰かが答えを知っていれば、それをヒントにできる。

そう考えた私は、同じような状況のお母さんたちや、患者さんたち、介護をされている方々に、お話を伺う活動を始めました。

 

調査の結果、分かったこと

たくさんの方にご協力いただいた結果、分かった現実は、「ほとんどの方がこれといった解決方法を見つけているわけではない」ということでした。

多くの方が、痛みを抱えたまま、なんとか必死にいまをやり過ごし、「つらい時期」の大きな波がなんとか過ぎるのを待つ。そういう方が圧倒的に多かったのです。

みなさんから伺ったお話をまとめると、このような現状が見えてきました。

「家族間で打ち明けるには、お互いの距離が近すぎて、うまくいかない。誰もが『当事者』すぎて、話が感情的になってしまう。」

「気持ちをぶつけあうと、分かりあえないことにショックを受けたり、ストレスを感じる。関係性が崩れ、離婚につながるケースも・・・。」

「疲れている人間同士で寄りかかりあうと、お互いに余裕がなく、全員が共倒れしてしまう。」

「友達に聞いてもらうには、話題が重すぎる。」

「数年単位で続く重い話題、愚痴は、相手にも負担をかけ、大事な友情を失ってしまう。」

「気分転換できるのは友達といるときだけで、そのときだけは闘病生活のことを忘れられるのに、そこに重い話を持ち込みたくない。友達だからこそ、話さない。」

 

「看護師さんやお医者さんは忙しいし、話した後に、あんなことまで話さなきゃよかったと後悔しても、今後も病院で会うので気まずい。」

「ケアマネージャーさんやソーシャルワーカーさんへの話は記録に残ってしまうのが気になる。何でも話すわけにはいかない。」

「行政のカウンセリングサービスはあっても、予約がとれるのは半年後。」

「無料電話相談窓口に電話をかけてても、ほとんどの場合つながらない。」

「電話がつながっても、病院や療養生活への理解が足りない相手である場合が多くて、本題に入る前の『いまの状況の説明』に時間がかかる」

「毎回、違う人に電話がかかってしまうので、その説明を毎回しないといけなくて、負担が大きい。」

「心理カウンセリングや、精神科のカウンセリングには抵抗がある」

「対面のカウンセリングに、家族を置いて出かけられない。」

 

では、どんな仕組みが必要なのか?

そこで引き続き、どんな仕組みがあれば、もやもやした気持ちを発散させられる可能性があるのかを調査しました。

その結果、

何をどうしたらいいかというアドバイスじゃなくて、ただ、自分の今のきもちに寄り添ってほしい

話を聞いて、うなづいて、ねぎらってほしい

と感じていらっしゃる方が多いということが分かりました。

そしてその相手に求める条件として、

医療の知識があり、病院の様子、介護の現状を知っている相手に話したい。

自分も自分の家族のことも、直接の関わりがない相手と話したい。

パートナーのようにいつも寄り添ってくれる優しい相手と話したい。

という希望があることが分かりました。

 

いまの社会には、これらのニーズを満たす仕組みが見当たらない

 

◇入院生活や闘病生活への知識がある、看護職が話を聞いてくれる
◇電話の相手の指名や、予約ができる
◇匿名で利用ができる
◇自宅からでも病院からでも利用できる=電話相談
◇闘病、介護生活に特化した事業

単純なようでいて、これらの条件をすべて満たす仕組みは、現在見当たりませんでした。

そこで、今回のプロジェクトを発足


そこで看護大学の先生方に相談させていただき、ご協力をお願いしたところ、この問題について共感してくださり、このプロジェクトの監修してくださることになりました。

また、電話を受ける働き手としても、ベテランの看護師さん、保健師さん、助産師さんにご協力いただけることとなりました。

誰かにとっての逃げる場所に


このプロジェクトは、
「つらいときやしんどいときに、その人にとっての逃げられる場所を作りたい。」という思いで始まったプロジェクトです。

心のなかにある、誰にも言えない思いを。胸にしずみこんだ、重たい気持ちを。

吐き出せる場所になれますように。
弱音を話せる場所になれますように。

そして、今苦しんでいる方にとって、
「もう限界だ」と思ったときにはいつでも思い出せる場所になれますように。

「ひとりじゃないんだ」と思える、そんな場所になれるよう、願いながら活動をしています。